食べるって・・・

 興味深い講演会に参加しました。

 『食べること,生きること。〜未来を担うこどもたちへ〜』という題目で,岐阜の歯科医師 稲葉 幸二さんと行橋で助産師をされている 内田 美智子さんがそれぞれの立場から「食」についてお話しされました。

 稲葉さんは「食育」を考える3つのキーワードとして,①共食②食のプロセス(食べ物が生き物であることの認識)③サーカディアンリズム(生活リズム)をあげられました。
 家族みんなが一緒に食卓を囲むことで,子どもは咀嚼,味覚,嗜好などの感覚を発達させます。食事中に会話を楽しむことで早食いの防止になる,苦手な物も大人が食べている姿を見て,食べてみようかと思うなど当たり前のようなことが今は大人も子どもも忙しいを言い訳に個食や弧食につながっているのは何とも寂しい限りです。
  
 内田さんの話は4度目でしたが,望んで幸せいっぱいに迎える妊娠,出産ばかりではないという厳しい現実を目の前にしてこられた現場の声にはいつも考えさせられます。
 はじめに「生」の反対は何でしょう?と問いかけられました。みなさんならどう答えますか?「生」の反対は「死」ではなく,「生まれてこない」事だと言われます。いろいろな事情で生まれてこない命がある,だから命を吹き込まれた私たちはその命を次へとつないでいかないといけません。
 助産院に来る女性の中には10代の子どもたちも少なくありません。その子たちの多くは家族で一緒に楽しい食卓を囲むという経験が少ないそうです。
そういう子どもたちは,コンビニで買ったお弁当やお菓子でお腹はいっぱいになっても,「心がひもじい」と内田さんは言われます。

 全国的に広がりつつある「弁当の日」を香川県で始められた竹下 和男さん(元中学校教師)は「食べ物は体を作るが,食べ方は人の心を作る」と言われます。もちろんバランスよく食べることは大事ですが,家族それぞれがバラバラに食べては意味がない。私たちはお腹をいっぱいにするためだけに食べるのではなく,心も満たすために食べていると言うことを改めて考えさせられました。
  
 子どもたちにとっての「食」についてはいつかみなさんと一緒に考える機会を持ちたいと思います。