山のようちえん その1 〜田植え〜

 風の森では食べることを大事にしたいと考えています。おなかを満たすだけではなく、普段口にするものがどういう風に育って自分たちの口に入るのかを考えるきっかけにもなれば、より美味しくいただいたり、大地の恵みに感謝したり、また作物を育ててくれる農家の方々の気持ちに想いを馳せたり出来るのかもしれません。

 5月19日、佐賀の富士町で有機農業を営む 田中一平さんの協力の下、園の子どもたちや家族の皆さん総勢29人で、田植え(今回はもち米を植えました)をしました。

 子どもたちはもちろん、ほとんどの方が田植えは初めてということで、一平さんから手植えの手ほどきを受け、田んぼの中へ足を入れると初めはぐにゅぐにゅの泥の感触にこわごわ足を入れるものの、段々とその感触が気持ちよく感じられるので、不思議です。

 1株(稲2〜3本程度)の苗が育つとだいたいお茶碗3杯分のお米になることを聞き、皆さん驚いていましたよ。
 3歳のはっぱちゃんたちは、泥の感触が嫌なのか全く中に入らず見ている子もいれば、入ってみたものの「やっぱり出る・・・」という子もいました。 来年は田んぼの中に入れるといいな。
 わかばさん(年中児)ともりのきさん(年長児)は黙々と作業することが出来、さすがだなと感心しました。でも、男の子は田植えをしながらも田んぼの中の虫やカエルにも興味津々で、捕まえるのにも余念がありませんでした。

 予定の苗を植え終わるとお待ちかねのお弁当の時間。みんなお母さん手作りのお弁当を美味しそうに食べていました。外で食べるお弁当は不思議と美味しさが倍増します。
機械がない頃はこうやって家族総出で田植えをして、その苗を見ながらわいわいおむすびを食べていたのだろうなと当時の光景が目に浮かぶようでした。

 お昼を済ませると近くを散歩したり、虫探しをしたり思い思いに過ごし、あっという間に帰る時間になりました。
一平さんにお礼を伝え、帰ろうとすると一緒に参加していた小学生のお姉ちゃんがしろつめ草で作った冠を一平さんの奥さんにプレゼントしていましたよ。

 今回は行きも帰りもマイクロバスで行くことが出来、ちょっとした遠足気分も味わいました。帰りのバスの中、家族の代表の方に感想を話してもらいましたが、ほとんどの方が「貴重な経験が出来た。」「土を触るのはいいですね。」とおっしゃっていました。

 次は4ヵ月後の9月に稲刈りをして、年末に餅つきをさせてもらう予定です。
自分たちが植えた稲を収穫して食べる。この経験で、子どもたちは今は分からなくても大きくなった時に食べ物のこと、作ってくれる方の苦労、そして作物の命をいただいて大きくなれることなどいろいろなことを考えてくれたらいいなと願っています。